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ドキュメント弁護士 法と現実のはざまで【レビュー】

2000年4月初版の本で、その時は弁護士による不祥事が続発し、国民が抱く「聖職」のイメージが崩れつつある時期でした。


それ故、弁護士になるまでの道程、刑事・民事弁護での奮闘と苦悩、犯罪被害者ケアの取り組みを追い、弁護士のあり方をめぐる様々な問題点とその解決策に迫る事を趣旨に本書は描かれています。


ドキュメント弁護士―法と現実のはざまで
読売新聞社会部
中央公論新社 (2000/04)
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おすすめ度の平均: 5
5 弁護士の気持ちに近づけます。



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■序章 ひまわりの虚像~マスコミをにぎわす弁護士たち~

45歳の弁護士が、「整理屋」「紹介屋」と呼ばれるブローカーと結託して、多重債務者から高額の報酬を得ていたとして弁護士法違反で、逮捕、起訴。

弁護士の年間の懲戒処分件数は、毎年20件ぐらい。

95,97、98年に、39,38,43件と年々増加していた。

倫理観が問われ出した時代である。

■第1章 弁護士はどうして生まれるのか~難関試験と業界~

司法修習生・・・4か月の修習、1年4か月の実務研修、4か月の仕上げの修習を受けた後に卒業試験を受けて、ようやく法曹の一員となる。

復権」へ悩める中央大学

私が受験生であった頃も、中大は司法試験に強い大学であるというイメージがありました。しかし、最近では早稲田大学東京大学の学生が司法試験を目指すようになり、少し低迷中。

学生のほとんどは、学校と予備校のダブルスクール状態。

とある人から聞いた話では、司法試験の現役合格するだけで、その後の進路に影響するとか?!

・求められる専門性

これも弁護士の方が申していましたが、最近では、知財関連をやりたいという修習生が多いとか。。

・刑事事件だけでは食えない?

■第2章 容疑者、被告の「権利」を守る~刑事弁護の苦悩と挑戦~

1.男児誘拐殺人

弁護士としての立場。

犯罪を犯した男の生い立ち。

法廷に立つ母親。

2.主婦殺人

死刑判決から無期懲役

3.保険金殺人

無罪を信じて引き受けたが、無期確定。

4.法医鑑定との戦い

DNA鑑定

■第3章 被害者と共になく~忘れがちな「弱者」の存在~

1.少年事件の壁

無神経な弁護士

加害者に課す試練の尋問

懲罰的損害賠償

被害者当事者の会・・・被害に合われた方の方が立場が弱い気がしてきます。

2.性暴力

無防備な示談交渉

1998年冬ごろ、運動部員による集団レイプ事件が相次ぎ、大きく報道された。

女性の痛みを訴える責務

3.時効殺人

4.交通禍

5.被害者支援の取り組み

■第4章 他人事でない民事のトラブル

1.医療過誤訴訟

身近な問題であり、もっとも難しい問題でもあるような・・・

本書の最初でも、医師をしてから弁護士を目指す人がいる一方、弁護士の資格を取り、医学の勉強をする人も何人か知っています。

それほど、医療に関する訴訟が問題であり、多いという事なんでしょう。

2.労働事件

過労自殺に関して。

3.隣人訴訟

ゴミ出しのトラブル

ペット論争

境界の塀をめぐるいさかい

4.少額事件

■第5章 21世紀の弁護士を考える

広告解禁

業務独占をめぐる職域論争・・・弁理士司法書士

質を問われる企業法務

法を犯す弁護士や正義の味方である弁護士。

それもすべては人としての高い倫理観があっての事だと思います。