中学2年生の優斗と投資銀行勤務の七海がお金の向こう研究所のボスから「お金の謎」と「社会のしくみ」についての講義というか会話形式で話が進んでいきます。
ストーリーもすごくよくて、お金に対する考え方、働き方、社会のしくみについて学ぶことができました。
お金儲けについては書かれていません。
もっと若いときに読んでおきたかった一冊となりました。
きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」【読者が選ぶビジネス書グランプリ2024 総合グランプリ「第1位」受賞作】 新品価格 |
多くの人がお金のために働き、お金に感謝する。年収が高ければ偉いと思い、貯金が多ければしあわせと感じる。生活を支えるのはお金と勘違いして、いつしかお金の奴隷に成り下がる。
- お金自体には価値がない
- お金で解決できる問題はない。
- みんなでお金を貯めても意味がない
第1章 お金自体には価値がない
焼却される古い紙幣は毎年30兆円ほどらしい。
税金の導入によって、お金(貨幣)が必要になる。
集めた税金を政府が使うことによって、お金が循環する
第2章 お金で解決できる問題はない
お金を払う限りは、誰かに問題解決をお願いしている。
お金の力は選ぶ力。解決してくれる人を選ぶことしかできない
点数を稼ぐことに夢中になると本来の目的を忘れてしまう。GDPを目的にすると、肝心のしあわせになることを忘れてしまう
第3章 みんなでお金を貯めても意味がない
お金は奪い合うことしかできないが、未来は共有できる
年金の問題を解決するには、お金を貯めてもしょうがない。少子化を食い止めたり、1人あたりの生産力を増やしたりしないといけない
お金はすべて財布から財布への移動
未来に向けて蓄えられるのは、社会基盤や生産設備、技術や制度など
第4章 退治する悪党は存在しない
みんなを等しく平等にした会社の創業者が結果的に大金持ちになった。
消費と投資のお金の流れによって未来が選ばれる
第5章 未来には贈与しかできない
世界は贈与でできている。自分から他人、他人から自分への贈与であり、過去から現在、現在から未来へと続く贈与。その結果、僕らは支え合って生きていけるし、より良い未来を作れる。それを補っているのがお金と位置づけている
最終章 ぼくたちはひとりじゃない
誰のために働くのか?
「働く」という言葉を、「お金を稼ぐ」という言葉に自動変換している
働くとは、お金を稼ぐことではなくて、誰かの役に立つこと
未来を守るという目的を共有できれば、“ぼくたち”は広がる
もう一つ大事なことは、心から人を愛すること
愛する人を守ろうと思うと、社会が他人事でなくなる。
気になった文章をピックアップしています。
ボスの話はもっと長いので、実際に解説を読んで下さい。
お金に関する話がずっと続いていくのかと思いきや、日本の未来に向けての提言のような話になってくる。
終盤の方がいろいろと考えさせられることが多かったです。
お金を貯めて老後に備えようという気持ちは以前からあまりなく、最近になってようやく先のことを少し考えていかないといけないと思ってお金に関する本をまたよく読むようになりました。
ただ最近の流行は、FIREを目指すものが多いような気がします。
自身もそうなった方が楽に老後が過ごせるとは思います。
それはあくまで個人の問題であって、社会全体としては望むべきものではないのかもしれません。
少子化の影響で労働人口は減ってきて生産性の低下、年金負担など働けるうちは誰かの役に立てるようにしないと日本の未来が危うい気がします。
この本を読んで少し今後の考えが変わってきました。
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