読者が選ぶビジネス書グランプリ2021、総合グランプリ第5位の書籍です。
これが発表される前に購入していたのですが、読み始めたのはその発表があってから。
ようやく読み終えました。
この本は、科学的根拠に基づき、「キャリア選択」という正解のない悩みに答えを出す方法を具体的に解説するものです。
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<職業選択にありがちな7つの大罪>
1.好きを仕事にする
多くの職業研究によれば、自分の好きなことを仕事にしようがしまいが最終的な幸福感は変わらない。
仕事の情熱はあとからついてくるもの。
2.給料の多さで選ぶ
給料が多いか少ないかは、幸福や仕事の満足度とほぼ関係がない
幸福度が年収400万~500万のあたりから上昇しづらくなる可能性が高い
日本の平均給与がこの辺に推移するのが何となくわかる気がします。
3.業界や職種で選ぶ
専門家だろうが有望な業界など予測できない。
人間は自分の個人的な興味の変化も予測できない。
そういえば、10数年前に面接でとある社長に「今後、この業界はどうなっていくと思いますか?」という質問をしたときに、答えは、「神のみぞ知る」と答えられました。
今やその方は、業界のトップに君臨されている人ですが、そういう人でも予測はできないのだから納得がいきます。
自分自身の価値観や好みも当然変わっていくので、業界や職種の展望をしても結果として他に興味が湧いてくる。
4.仕事の楽さで選ぶ
ストレスが体に悪いのは確実なものの、その一方では「楽すぎる仕事」もまた、幸福度を大きく下げてしまう。
適度なストレスによって、
・仕事の満足度を高める
・会社へのコミットメントを改善する
・離職率を低下させる
5.性格テストで選ぶ
性格診断によって適職が見つかる保証はどこにもない
参考までにすることはあっても、それで職種を選べるとは思わないです。
6.直感で選ぶ
直感で正しく働くためには、
・ルールが厳格に決まっている
・何度も練習するチャンスがある
・フィードバックがすぐに得られる
これらの条件が満たされる必要があるみたいです。
ほとんどの人生の選択においては、論理的に考える人の方が人生の満足度が高く、日常のストレスも低いとのこと。
7.適正にあった仕事を求める
・「強み」と仕事の満足度には有意な関係があるものの、その相関はとても小さい
・その組織の中に自分と同じ「強み」を持った同僚が少ない場合には、仕事の満足度が上がる
<仕事の幸福度を決める7つの徳目>
1.自由・・・仕事内容や働き方に裁量権がある
数ある研究の中でも、仕事の幸せを左右する要素はない
・作業を実行するスケジュールを好きに設定できる
・タスクの内容を好きなように選ぶことができる
・収入や社内ルールに好きな意見を言える
ただこれに思うのは、とある人が自由にやっているおかげで、周りが迷惑を被っていることもあると思います。
そいつのせいで周りがどんどん辞めていくというのは結構見てきたような気がする。
2.達成・・・前に進んでいる感覚を得られる
「小さな達成」が仕事のモチベーションを大きく左右することがわかっており、人間のモチベーションが最も高まるのは、少しでも仕事が前に進んでいるとき。
3.焦点・・・モチベーションタイプに合っている
「攻撃型」か「防御型」の焦点タイプに合った働き方をした方が能力を発揮しやすく、そのおかげで仕事の満足度も高まる。
タイプを判断する質問が記載されていて、この二つのタイプの分類は仕事選びの参考になると思いました。
4.明確・・・なすべきこと、ビジョン、評価軸は明確である
「上からの指示が一貫しない」が社員の体調を破壊する。
これは納得です。
以前に著書で、「上司は思いつきでものを言う」という本を読んだことがあります。
その場限りで適当なことをいう会社は、3秒で辞めます。
5.多用・・・作業内容にバリエーションがある
人間はどのような変化にもすぐに慣れてしまう性質がある
日常の仕事で、
・自分が持つ色んなスキルや能力を幅広く活かすことができる
・業務の内容がバラエティに富んでいる
これなんですよね。
薬剤師の仕事って、慣れてくるとただのルーティンワークになってしまって飽きてくるんですよね。
だから一つのところでずっと同じように働くことに興味が持てないし、面白いとも感じない。
6.仲間・・・組織内に助けてくれる友人がいる
給料の多さや仕事の楽しさなどの要因とは関係なく、社内に良い友人がいるだけでも人生が幸福になる。
あまり働いているときには実感が湧いてこないものですが、結果として長く働いてきたときには、やはり色んな事が話せる人が居るところの方が、何も考えずに働いてこれた気がする。
7.貢献・・・どれだけ世の中の役に立っているかがわかる
親切による幸福度アップの効果を「ヘルパーズ・ハイ」と呼ばれる。社会への貢献で十分にハイになれる。
<最悪な職場に共通する8つの悪>
1.ワークライフバランスの崩壊
2.雇用が不安定
3.長時間労働
4.シフトワーク
5.仕事のコントロール権がない
6.ソーシャルサポートがない
7.組織内に不公平が多い
8.長時間通勤
これらのことを踏まえて、幸福な仕事を探すための3つの意志決定ツールが説明されています。
<バイアスを取り除くための4大技法>
バイアスとは人間の脳に巣食う「バグ」
どんなに精密なモデル分析を行っても、能のバグに立ち向かうためのプロトコルを決めておかねば、意志決定を間違えてしまう確率が上がるようです。
意志決定においてバイアスを取り除く事が重要であり、それだけで1冊の本が書かれています。本書のバイアスの事例をみたときに、まんまと引っかかってしまいました。
「確証バイアス」・・・自分が一旦信じたことを裏付けてくれそうな情報ばかりを集めてしまう心理。
・アンカリング効果
・真実性の錯覚
・フォーカシング効果
・サンクコスト
・感情バイアス
バイアスっていう言葉は、使ってきたように思うけれど、それは科学研究の時の話で、今回この本で読んでみて、バイアスが意志決定において、とても重要であり、また他の本でも読んでみようかと思いました。
この後の章では、仕事の満足度を高める7つの計画が記載されております。
今やっている仕事に関して、満足度を確認する事ができます。
以上にコメントだけを列挙して自分の考えも少し書きましたが、本書では著者が10万本物科学論文を読み、適職を導き出すための4021の研究データに基づく結果が記載されております。
読んでみて思ったことは、すべてに合った職業を見つけることは難しい。
少しでも自分にとって仕事をしていく中で幸せを感じるような確率を上げるための参考になると思います。
本書の中の一文で、「仕事は生活費を稼ぐための手段!幸福は趣味から得られれば良いので、職業は何でも良い」というのがありました。
結局、このライフスタイルを選ぶのが良いんじゃないのかなとも思います。
今の休職期間中に読みおえておこうと思って慌てて読みましたが、仕事選びの参考にしてみます。